呼気中水素ガス測定法とは
7. 腸内細菌の異常増殖(Bacterial Overgrowth)の検査法
腸内細菌の異常増殖に対する呼気検査の解釈
プロトコールA:
負荷糖にグルコースを使用された場合、水素またはメタンの濃度がベースライン値より12ppm以上増加するときは、腸内細菌の異常増殖を示します。
この呼気検査は陽性反応が記録されたときに終了できます。
腸内細菌の異常増殖がなければ、糖分は吸収を受ける前に腸内細菌にさらされることがないため、水素上昇は観察されません。
もし、腸内細菌が小腸の上部に存在する場合、水素メタンが産生され、通常30〜60分以内に肺胞空気に現れます。
検査結果が陰性の場合は、水素または水素とメタンを少なくとも2時間測定することにより陰性の検査結果が、胃が空になるのが遅延したことによるものでないことを確認することができます。
プロトコールB:
負荷糖にラクツロースを使用した場合、腸内細菌の異常増殖は、通常、呼気水素に二相のパターンを引き起こします。
ベースライン値を12ppm以上の増加を伴った水素の早期上昇が見られ、次いで糖分が結腸に到達したときに、より大きいでしょう。(おそらくはメタンを伴うか置きかわります。)
残念ながら、2つのピークが見られることは希であり、むしろ早期からプラトーを表すパターンであります。
ラクツロース使用の理論上の利点は、糖負荷が空腸の下部、そして、回腸へと運ばれるためラクツロースの使用は呼気検査の感度を高めるということです。
ラクツロースを使用して水素もメタンも増加しない場合は、患者が最近抗生物質療法を受けたか、または、結腸内容物に酸性で腸内細菌の活動を妨げていることが考えられます。
後者の状態は、小腸と結腸の中膜が異なるため、小腸における腸内細菌の異常増殖に対するラクツロース検査の正確性に影響を及ぼしません。
腸内細菌の異常増殖の患者に、絶食時のメタン値の増加が見られることがあると考えられてきた腸内細菌の異常増殖において増加する小腸壁由来の糖蛋白質が基質となるためで、部位はおそらく結腸であろうと考えられています。
腸内細菌の異常増殖により小腸で希にしか見られない嫌気性細菌叢によってメタン産生のためグルコースやラクツロースの摂取によってベースライン値よりも肺胞気中メタン値が上昇するというデータは得られていません。しかし、腸内細菌の異常増殖でのメタン変動は我々の知る限り報告されていません。
【参考資料】
治療学 Vol.18.No 4 1987 兵庫医科大学第四内科 谷田憲俊他六名 慢性腸疾患 腸内細菌と腸疾患
・「グルコースを用いた腸内細菌の異常増殖検査法」
・「ラクツロースを用いた腸内細菌の異常増殖検査法」
・「腸内細菌の異常増殖に対するメタン検査」
・「腸内細菌の異常増殖プロトコール」
・腸内細菌の異常増殖に対する呼気検査の解釈
・上部小腸細菌叢の異常増殖
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