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呼気中水素ガス測定法とは4. 呼気中水素測定の信頼性
1975年にNewcomerらが水素(H2)、14CO2ラベル乳糖並びに血糖測定のなかで、乳糖の吸収不良を検出する手段として水素が優れていることを証明されました。
BondとLevittは、1978年に呼気中水素を使用して、二糖類disaccharides(複合糖類)のなかに、加水分解されず、小腸で吸収されなかったものがあることを指摘しました。 このことは、二糖類が結腸に完全に到達し、その結果、糖分摂取後の呼気中水素に変化が生じたという根拠に基づいていました。呼気分析の最も有名な臨床応用は、乳糖の吸収不良または、乳糖不耐症の診断です。 それらは、全世界の成人の多数と、北アメリカの人口の15〜 20%にみられる牛乳不耐症と関係しています。
呼気中水素検査(しばしばHBTまたはBHTといわれる)は、血液検査にとって代わりました。 血液検査の場合は、乳糖摂取後、血中glucose濃度上昇が見られなければ、乳糖が消化されず、小腸で吸収されなかったとしています。呼気中水素・メタン検査は、この症状を診断するのに多くの胃腸科医が選択する方法となっています。
乳糖吸収不良の症状の程度は驚くほど幅広いです。乳糖を消化できない成人は世界の人口の大多数を占めています。 症状が出ずに、牛乳を飲むことができるのは、北アメリカ人と北ヨーロッパ系のオーストラリア人、北ヨーロッパ人、アフリカの一部の部族であると考えられています。 3〜5才以上での牛乳の消化能力は遺伝的に決定し、優性遺伝を示します。成人の乳糖不耐症の発生率は、東洋人とアフリカの黒人(ずっと低い発生率の部族もあるが)においては90〜 97%、北アメリカインディアンでは80%以上、北アメリカ黒人と南アメリカインディアンでは70〜85%、地中海と中東地域では60%以上、北ヨーロッパ人・北アメリカの白色人種およびパキスタンとインド北西部では1〜15%です。 この分布パターンは人種の歴史を反映し、栄養学的に優位であった人種に、成人になってからもlactase産生能が残っている人が存在すると考えている科学者がいます。 牛乳をのむことができるということで、より大きな活力とよりすぐれた健康を手にし、人種は部族の支配的なメンバーになることが可能となった、ということです。この過度に割り切った「適者生存」説は、だれにでも受け入れられたわけではありません。 なぜなら牛乳を飲まないアフリカのいくつかの部族で、乳糖吸収不良の発生率が低いことがあるからです。 成人になっても、 lactase産生するという、優性遺伝する”変種”が、スカンジナビアの原住民やおそらく世界のほかの地域でも存在していると考えている科学者もいます。
呼気中水素検査の信頼性と簡便さが乳糖で証明されたとき、すぐに他の複合糖類、fructose(果物由来)、maltose(澱粉由来)、 sucrose(吸収不良になることの少ない普通のテーブルシュガー)などに応用されました。 呼気中水素検査は、砂糖抜きのキャンディーやチュウインガム、糖尿病食に使用される、人工甘味剤であるsorbitolに対して異常に敏感な人がいることを示すのにも用いられています。
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